事業所得別・法人化の損益分岐表(2026年版)
最終更新日: 2026年10月29日 /計算根拠と前提条件
「事業所得がいくらになったら法人化すべきか」は、役員報酬をいくらに設定するか、家族構成はどうかで大きく変わります。 この表は、当サイトのシミュレーターと同じ計算モデルで、事業所得300万円〜2,000万円の個人事業主が法人化した場合の税金・社会保険料の年間負担差を一覧にしたものです。数値はページ表示時に計算モデルから直接生成しており、 計算モデルを更新すると表も自動的に更新されます。
この表の前提
- 税制は2026年(令和8年)分の所得税(基礎控除104万円〜62万円、給与所得控除の最低保障74万円)と住民税
- 社会保険は協会けんぽ東京の令和8年度料率(健康保険9.85%、子ども・子育て支援金0.23%)と厚生年金18.3%
- 国民健康保険は東京23区(新宿区)の令和8年度料率、国民年金は月額17,920円
- 経費100万円、青色申告特別控除65万円、個人事業税率5%、35歳(介護保険料なし)
- 法人化後は、青色申告特別控除前の利益(事業所得+65万円)の50%または80%を役員報酬にする
- 税理士報酬・設立費用・消費税は含まない(後述)
「負担差」は個人事業主の年間負担 − 法人化後の年間負担です。プラスなら法人化したほうが税・社会保険料の合計が少ないことを示します。
早見表:単身(35歳・扶養なし)
| 事業所得 | 個人の年間負担 | 報酬=利益の50% 報酬額 / 負担差 | 報酬=利益の80% 報酬額 / 負担差 |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 84万円 | 180万円 −15万円 | 288万円 −28万円 |
| 400万円 | 115万円 | 228万円 −12万円 | 372万円 −32万円 |
| 500万円 | 155万円 | 288万円 −2万円 | 456万円 −22万円 |
| 600万円 | 198万円 | 336万円 +13万円 | 528万円 −12万円 |
| 700万円 | 241万円 | 384万円 +29万円 | 612万円 −1万円 |
| 800万円 | 284万円 | 432万円 +43万円 | 696万円 −7万円 |
| 1,000万円 | 365万円 | 528万円 +65万円 | 852万円 +0万円 |
| 1,200万円 | 454万円 | 636万円 +90万円 | 1,008万円 +22万円 |
| 1,500万円 | 601万円 | 780万円 +127万円 | 1,248万円 +58万円 |
| 2,000万円 | 845万円 | 1,032万円 +202万円 | 1,656万円 +80万円 |
早見表:配偶者+子1人(35歳・配偶者は収入なし)
| 事業所得 | 個人の年間負担 | 報酬=利益の50% 報酬額 / 負担差 | 報酬=利益の80% 報酬額 / 負担差 |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 103万円 | 180万円 +8万円 | 288万円 +0万円 |
| 400万円 | 132万円 | 228万円 +12万円 | 372万円 −4万円 |
| 500万円 | 165万円 | 288万円 +18万円 | 456万円 −1万円 |
| 600万円 | 199万円 | 336万円 +26万円 | 528万円 +1万円 |
| 700万円 | 243万円 | 384万円 +41万円 | 612万円 +14万円 |
| 800万円 | 283万円 | 432万円 +52万円 | 696万円 +8万円 |
| 1,000万円 | 363万円 | 528万円 +73万円 | 852万円 +20万円 |
| 1,200万円 | 450万円 | 636万円 +100万円 | 1,008万円 +40万円 |
| 1,500万円 | 597万円 | 780万円 +145万円 | 1,248万円 +67万円 |
| 2,000万円 | 840万円 | 1,032万円 +219万円 | 1,656万円 +90万円 |
負担差がプラスに転じる事業所得の目安
| 家族構成 | 報酬=利益の50% | 報酬=利益の80% |
|---|---|---|
| 単身(35歳・扶養なし) | 510万円〜 | 1,040万円〜 |
| 配偶者+子1人(35歳・配偶者は収入なし) | 100万円以下から | 630万円〜 |
目安は「その金額以上なら、表の前提で負担差がずっとプラスになる事業所得」です。標準報酬月額の等級や基礎控除の段差があるため、 負担差は所得に対してなめらかには増えず、分岐点付近ではプラスとマイナスを行き来することがあります。
よく言われる「所得500万〜800万円が法人化の目安」は、役員報酬の設定や家族構成によって前後します。 配偶者がいる場合、個人事業主のままだと配偶者も国民年金(年215,040円)と国民健康保険の均等割を負担しますが、 法人化して代表者の社会保険の扶養に入れば、その分の保険料がかかりません。家族がいる世帯ほど分岐点が下がりやすいのはこのためです。
表の読み方:事業所得800万円(単身)の例
事業所得800万円の単身者の場合、個人事業主のままの年間負担は約284万円です。役員報酬を利益の50%(432万円)にすると負担差は+43万円、 法人に税引後で残る利益は約280万円です。役員報酬を利益の80%(696万円)にすると負担差は−7万円、 法人に税引後で残る利益は約44万円です。
役員報酬を低くすると負担差は大きくなりやすい一方、そのお金は会社に残るため、個人が自由に使えるお金ではありません。 会社に残した利益を後から配当や退職金で受け取る場合には、その時点で別途税金がかかります。 「負担差が最大になる報酬」が、そのまま「手取りが最大になる報酬」とは限らない点に注意してください。
表に含まれていない費用と注意点
- 法人の維持費:税理士報酬、会計ソフト、法人口座などの追加費用。負担差からこれらを差し引いて判断します(計算例ページで考え方を解説しています)。
- 設立費用:合同会社か株式会社かで異なります。手続きは法人化の手続きガイドを参照してください。
- 消費税:インボイス登録の有無や課税売上高によって変わるため、表には含めていません。
- 国民健康保険の地域差:国保の料率は市区町村ごとに異なり、地域によっては表より負担差が数万円〜十数万円変わります。
- 役員報酬の変更制限:役員報酬は原則として事業年度の途中で自由に変更できません。
自分の数字で確認する
この表は典型的な前提での目安です。経費、iDeCo、住宅ローン控除、配偶者役員報酬などを入れると結果は変わります。 ご自身の数字で確認するには法人化シミュレーターをご利用ください。 2026年の制度変更が損益分岐点に与える影響は2026年の税制・社会保険の変更点で解説しています。
本ページは一般的な情報提供を目的とした概算であり、個別の税務助言ではありません。法人設立や申告の判断は税理士等の専門家にご相談ください。